スティーブ・ジョブズⅠ、Ⅱ読了

面白い本だった。
というか、本人が面白いのだ。
改めてスティーブ・ジョブズと言う人は面白い人だなーと思った。
本はその生い立ちからアップルの創業に至る道、会社の成功と追放、苦難の時期を経てピクサーでの新たな成功とアップルへの帰還、次々にヒット商品を産み出しつつ、健康問題からやがて亡くなるまでを大量の取材で克明に描いている。
ともかくまあ驚くべき波瀾万丈の人生である。

ところで、かつて早川書房から出版された「アップル〜世界を変えた天才たちの20年」という本がある。著者はジム・カールトン、訳は山崎理仁。
これはアップルと言う会社の歴史を綴ったノンフィクションで、その創業からジョブズの復帰までを追った内容である。(訳者あとがきによれば日本版の出版がiMac発売3日前、という時期の本である)
これまた面白い本で、アップルという会社が実に素晴らしい革新的な事を成し遂げたところから始まり、その後20年、ひたすらに混乱と凋落を続けていく様が克明に描かれている。

今回、「スティーブ・ジョブズ」を読んだ後ちょっと本棚から引っぱり出してみた。
最終章には、iMacの発表の様子が書かれている。(以下鍵カッコ内は引用)

当時、どん底に喘ぐアップルが、起死回生の一発として放った常識を覆すマシン、iMac。
ジョブズはその発表を「この会社はふたたび偉大になれるし、われわれはまさにその方向に向かっていると思う」と言って閉めたという。
筆者はその講演を聴いた直後、「気がつくと私はジョブズが正しいかもしれないと信じていた」と書く。
しかし、講堂をでた直後、彼は正気を取り戻し、「映画館を出て現実に引き戻された時のような思いをした」。
そして、いかにiMacが素晴らしかろうとも、もはや往年のアップルの力を取り戻すには役不足であり、いずれは「より大きな企業に呑み込まれるかついに顧客が誰もいなくなるのではなかろうか」という悲観的な予想をしてこの本を終えているのである。

1997年当時の、アップルに対する冷静な分析がこれである。
それから10数年、われわれはその予想が外れた事を知っている。

「スティーブ・ジョブズ」には彼に率いられたアップルがその後、誰も予想していなかった巨大な成功に向かって行く様子も克明に書かれている。

と言って、決して偉業を褒めそやすばかりの内容ではない。ジョブズ氏の人となりの負の面も色々と書かれている。
口が悪く、態度は横柄、冷酷で高慢で利己主義。常に特別でありたいし、周囲からは特別扱いをされていたい。会議の席でプレゼンのスライドが2〜3枚続いただけで飽きてきて文句を言う。
そんな、欠点だらけの人間が、Macを産み出しipodを産み出しiphoneやipadまで次々と魅力的で革新的な物を作り出す。
このギャップがたまらなく興味をそそる。面白い。

聖人君子だけが世界を導く訳ではない。むしろ欠点だらけの人間が、時と場所を得てとてつもない偉業を成し遂げる。それがこの社会であり、だからこそ現実は面白いのだと、俺は思う。
個人的に付き合いたいとは思わないが、彼の物語をぜひとも描いてみたいと思う、そんな魅力を秘めた人物だったと、心から思う。
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by w-edge-t | 2011-11-04 19:06 | 日々の暮らしで考えた


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高山なおき プロフィール

ダブルエッジ 作家
1969年7月6日生まれ

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○映画
「娘道成寺~蛇炎の恋~」(高山由紀子と共同)

○演劇
「ダブルエッジの忠臣蔵!」
「輪廻くん」
「天気待ち~waiting for the sun~」(奈良橋陽子と共同)  他

○ラジオドラマシナリオ
NHK-FM「魔法の王国売ります!」他

○テレビドラマシナリオ
NHK「ゴーストフレンズ」 他

○ゲームシナリオ
東芝EMI「ずっといっしょ」

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