エクスペンダブルズ2観た事など

自分とこの芝居が終わると「さて、映画でも観に行くか」と思う。
時間があるとか何とかより、何かこう、内面的に余裕ができるからってのが大きい気がする。
んでここんとこ見た映画が「アイアンスカイ」と「エクスペンダブルズ2」である。

……まあ、非常に偏ってるような気がしないでもない。

「アイアンスカイ」はナチが月面に基地作って生き残っていた!というまあ割とおバカ映画な感じなのだが、ナチスを戯画化して小馬鹿にしつつ、現代のアメリカ(及び国際社会)をそれと同レベルに描く事で風刺する作りになっていて面白かった。人種ネタなんかも大手の会社では腰が引けてできないようなネタに割と軽く突っ込んでいて、その姿勢がインディペンデントならではでとても好感が持てるのだった。佳作だと思う。

で、まあそれは置いといて、今回の主題は「エクスペンダブルズ2」である。
スタローン演じる傭兵のバーニーと、彼の率いる傭兵部隊の活躍を描いたアクション映画で、……というよりも、スタローンが自分と同年代に活躍したアクションスターたちを軒並み集めて作った映画、という説明の方が正しい気がする。
話がどうの、設定がどうの、そういう事言ってもはじまらない映画であるような気がする。
実際、ぶっちゃけた話、ストーリーなんてたいしたこたあないのである。

すっごい腕利きの傭兵部隊がいて、任務を遂行中にテロ組織にプルトニウムの保管庫の地図を奪われ、さらに仲間を殺される。怒りに燃えた傭兵たちは復讐を誓う……

あらすじ、以上である。わずか2行である。
つーか最後の「を誓う……」の部分を「した」に変えるとある意味ネタバレである。
実際の話、物語は単純明快、というか単純というレベルにすら達してないような、「イイモンがワルモン倒しました」というだけの話なのである。どんでん返しの一つでもあるかと思ったらそれすらない。「頭を空っぽにして楽しむ」という表現があるが、逆に言うと「頭を空っぽにしない事には楽しめない」映画なのである。
……と書くと、つまんなかったのかって話になるのだが、実は個人的に感動しちゃったのである。
クライマックスでは若干ウルッときたりして、まさかこの映画で感動するなんて!と我ながら驚いたりしたのである。
以下、ネタバレ要素を含むので(いや、上にもネタバレがあるが)、ご理解の上読んで頂きたい。


さて、
そもそも上にも書いたように、この映画は「スタローンが自分と同年代に活躍したアクションスターたちを軒並み集めて作った映画」なのである。
ま、正確にはニュースターも織り交ぜているので必ずしも「同年代」ばかりではないのだが、中心になるのは同年代のスターたちである。予告編でもシュワルツェネッガー、ブルース・ウィリスとの共演が強調されている。
だからこれはオールスター映画なのであって、物語上の設定である「傭兵部隊」のリアリティとか、そういうのある意味どうでもよくて、そこに出ている俳優たちの活躍を、ノスタルジーを含めて楽しむ映画だろうと思うのである。
実際観てる間も、そこに映ってるのはスタローンとしか認識してなくて、「傭兵部隊のリーダーのバーニー・ロス」なんてのは今これ書くのにもパンフレット引っ張り出さないと覚えてないくらいの印象なのである。
で、そういう構造の映画であるから、ファンサービスとして各スターの過去のヒット作に引っ掛けたセリフネタなんかがバンバンはいっているのである。
シュワルツェネッガーなんか3回ぐらい「I'll be back!」って言わされてたりして、吉本新喜劇の芸人のような扱いである。
だからこっちも観てる間、物語世界に引き込まれるような事はなくて、「お、ジェット・リーだ、カンフーアクションすげーな」とか「ここでチャック・ノリスか!待ってました!」みたいな、それぞれの俳優をそれぞれの俳優として認識するという、そんな距離感で楽しんでいるのである。
そう思ってみると、各スターたちそれぞれにちゃんと見せ場が用意されていて、ストーリーは平板かもしれないがアクションの工夫は素晴らしいのである。
で、そうやって楽しんで行った先に、ついにクライマックス、スタローン対ヴァンダムの一騎打ちがやってくる。
最初は物陰に隠れて銃を打ち合う二人だが、やがてヴァンダムが急に「こっちは弾が切れた、素手でやり合おうぜ」とか言い出して物陰から出てきてしまう。
そしてスタローンもそれに呼応して自分の銃を捨てて、殴り合いを選ぶのだ。
この展開には面食らった。冷静に考えるとそんな必要はどこにもない。悪者だしプルトニウム取り返さないといけないし、仲間の敵討ちなんだし、考えれば考えるほど撃っちゃうべきである。しかしスタローンは素手で向かって行く。
そりゃさっき話なんかどうでもいいとは言ったけどものには限度がある。いくらなんでもこれは雑だ、あまりに御都合主義過ぎる!
一瞬しらけそうになりながら観ていると、ヴァンダムが往年の姿を彷彿とさせる開脚180度のスピンキックを決め、倒れたスタローンに向かって言い放つ。

「これしきで倒れるのか?金返せ!」

その瞬間、俺はさっきまでのしらけそうだった気持ちがぐるっとひっくり返って、感動しちゃったのである。
このセリフに俺はウルッときちゃったのである。

ここまでの展開から、このセリフはテロリストのセリフには聞こえない、ヴァンダムがスタローンにかけた言葉に聞こえる。
そしてそれは、年取ったからと言って、名前だけで楽な仕事をするのではなく、ちょっとでも面白い映画を撮ろうとする飽くなき映画人の精神みたいなものの決意表明に聞こえたのである。

「金返せ」という罵倒を浴びたスタローンは苦痛をこらえて必死に立ち上がる。その表情は俺の目には「痛みをこらえる傭兵」ではなく「苦悩しつつもカメラの前に立つ映画人」と映った。そしてそれに心打たれたのであった。

あれだけの成功を収めた人物が、なおも観客を喜ばせようと、知恵を絞って体に無理をさせて泥臭く全力で頑張っている。
それはいらん深読みなのかもしれない。しかし俺は感動したし、改めてスタローンという映画人が好きになったのであった。

「エクスペンダブルズ2」は名作ではないかもしれないが、個人的には心に残る作品になったのであった。

そして翻って、俺自身も地べた這いずって頑張らにゃいかんという思いを新たにしたりしたのであった。
ダブルエッジ、来年も頑張ります!
[PR]
by w-edge-t | 2012-10-31 14:34 | 日々の暮らしで考えた


世界最小の劇団ダブルエッジの作家の方のブログ


by w-edge-t

プロフィールを見る
画像一覧

カテゴリ

全体
芝居の現場で考えた
日々の暮らしで考えた
田辺からの伝言
このブログは……
データ的なもの
時には昔を思い出す
ちかごろ気になることがある
宇宙の果ての暮らしかた
未分類

以前の記事

2014年 08月
2014年 07月
2014年 05月
2014年 04月
2014年 02月
2013年 12月
2013年 11月
2013年 10月
2013年 09月
2013年 08月
2013年 07月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 10月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
2012年 01月
2011年 12月
2011年 11月
2011年 10月
2011年 09月
2011年 08月
2011年 07月
2011年 06月
2011年 05月

最新のトラックバック

『輪廻くん』アフタートーク
from Issei Freak
もっともな話
from Issei Freak

検索

外部リンク

高山なおき プロフィール

ダブルエッジ 作家
1969年7月6日生まれ

主な作品
○映画
「娘道成寺~蛇炎の恋~」(高山由紀子と共同)

○演劇
「ダブルエッジの忠臣蔵!」
「輪廻くん」
「天気待ち~waiting for the sun~」(奈良橋陽子と共同)  他

○ラジオドラマシナリオ
NHK-FM「魔法の王国売ります!」他

○テレビドラマシナリオ
NHK「ゴーストフレンズ」 他

○ゲームシナリオ
東芝EMI「ずっといっしょ」

○小説
ZEST「ずっといっしょ~秘密の星空~」

その他のジャンル

ファン

記事ランキング

ブログジャンル

画像一覧