カテゴリ:時には昔を思い出す( 3 )

「エクストリームマン・ショウ!」のこと

新作公演も一段落したので昔話などしてみたい。

第2回公演「エクストリームマン・ショウ!」は旗揚げからわずか2ヶ月後、同年11月であった。
連続公演で旗揚げを強く打ち出そうというテーマがあった訳だが、たった二人の劇団である我々にはなかなか大変なテーマであった。
さすがに15年も前で記憶が定かでないのだが、確か旗揚げが終わってから準備にかかった筈である。
ゲストはその後も何かとつるむことになる岡見文克氏であった。
同じ大学で芝居をやってた先輩で、学生時代に出演していた舞台を見たことがあって強く印象に残っていたので、とりあえず相手の状況もわからず伝手を頼ってお願いに行ったのだった。当時芝居からは足を洗って真っ当なエリートサラリーマンの道を歩いていた岡見氏を口説き落とし、出演してもらったのだが、氏はこれをきっかけに会社を辞め、芝居を続けることになるのである。泥沼に引きずり込んだようで今なお若干の責任を感じていたりする。

「エクストリームマン・ショウ!」はスーパーヒーローが現実にいる世界のお話である。引退したエクストリームマンの後を継ぐ2代目エクストリームマンはこの日、テレビのトークショウに呼ばれて話をしている。しかし司会者は何かと懐疑的な態度でつっかかる。実はこの司会者こそ、引退した初代エクストリームマンであった。二人が世代間ギャップから衝突し、決定的に仲間割れする中、会場に爆弾を仕掛けたという脅迫状が届き……

設定からもお分かりの通り割とバカバカしい、コメディータッチの作品である。その割にラストは人が死んだり意外と暗い〆だったりするのだが。

まだまだ色んなことが手探りだったこの時期、どれぐらいのステージ数が適正かと言うことも考えず、いっぱいやりゃいっぱい客が来るだろうとムダに多いステージ数にしたせいで、1ステージ辺りの客がものすごく少なくなってしまった。その結果、出演者二人に対し観客二人という体験をするハメになる。
トークショウと言う設定なので舞台に椅子二つ並べて役者が座り、話し合う場面がメインなのだが、それを見る客席も二人だけなのである。
会場の真ん中へんに4人が座って、うち二人が主に喋り、残りの二人はそれを見て笑っている。
極めてシュールな光景であった。
これが我々の間で今なお恐怖と共に語られる伝説の「マンツーマンディフェンス事件」である。

何せ時間がなかったので多分これがダブルエッジで一番短い台本なのではないだろうか?そのままやると尺が足りないはずである。しかし実際は問題なく上演できた。稽古の中でみんなでギャグを考え、付け足していったのである。実際この時の稽古は芝居の稽古と言うよりお笑いのネタ出しのようであった。毎回稽古は楽しくて仕方なかった。笑いが絶えなかった。そんな事もあって、岡見氏とは後に一緒にコントをやることになったりする。
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by w-edge-t | 2013-08-16 15:48 | 時には昔を思い出す

「迷宮の女王」のこと

ダブルエッジの旗揚げは1998年であった。今からもう15年も前である。
前年、「才能の巣」でもって田辺と一緒に芝居をやった後、「一人芝居じゃ限界があるが、ゲストを呼んで二人程度の芝居を作っていけば、バラエティ感も出るし続けていけるんじゃないか?」と思いつき、田辺と二人で話し合って、「演劇ユニットダブルエッジ」としてやっていこうと合意するのである。
旗揚げは秋、9月だった。

ちなみに旗揚げ第2弾も同じ年、11月である。
中二ヶ月。ムチャクチャな進行である。これは旗揚げというからにはなんか派手な事を、と考えて、2作品連続公演!と打ち上げたのであった。
実際には旗揚げの準備中はとても二本目の準備をする余裕などなく、その後の2ヶ月ははなはだ大変な目にあうのだが、それはまた別の話。

そもそもこの公演自体の準備も相当大変であった。
旗揚げはアトリエ公演であった。というか、当初ダブルエッジはアトリエ公演を主体としてやって行こうというコンセプトだった。俺の実家の方にたまたま使えるスペースがあり、そこを有効活用していこうというテーマがあったのである。
で、この時は旗揚げなので公演の準備と共にアトリエをお客様にお招きできるレベルにしつらえると言う作業もあったのである。
具体的にいうと大道具と共に客席のベンチなんかも一緒に作らねばならなかったのである。
しかも我々はたった二人のユニットである。慢性的マンパワー不足は当時は今よりひどかった。声をかけられる知り合いもほとんどいなかった。仕方ないので二人で交互にアトリエに泊まり込み、徹夜で作り物に精を出したりして、何とか本番に間に合わせたのであった。

芝居の内容はゲストに女優さんを呼んで、割とスケベったらしい内容であった。
舞台は会社の就職説明会という態で、集まった観客がつまり就職希望者たちという形で始まる。
色々と好き勝手喋ったオッサンが質問を促すと、客席から一人の女が手を挙げ、「私を覚えてますか?」と聞く。実はその女はかつて面接官のオッサンの愛人として、手ひどい目にあわされた過去をもっていたのだった……

我々がやってるのは芝居であって、ポルノ作るつもりはない。ストリップをやる気もない。そっちにはそっちのプロフェッショナルがいて、我々はその方面には素人である。
では我々がセクシャルな内容を扱う時、どうあるべきか?実際に女が脱いだりはしない。直接的な表現はしない。しかしセリフと物語を上手に使えば、直接脱いだり触ったりするよりも興奮させる事はできるんじゃないか?
……そんなような事を考えて作った芝居だった。
暗く、インモラルな内容であった。
そんな作品を旗揚げでやるのもいかがなものかとも思うが、「才能の巣」だって結構インモラルである。ようは当時の我々の作風自体がインモラルだったのである。

ともかくもこの舞台でもって「ダブルエッジ」は出発した。
んで、インモラルばっかりもいかんだろと、旗揚げ第二弾は思いっきり明るく楽しく、おもしろ方向に舵を切ってダブルエッジの幅を見せようと張り切るのであるが、その時点で本番まで残り二ヶ月、台本は一行も書けてない状況で大慌てで準備に取りかかっていくのであった。
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by w-edge-t | 2013-05-07 12:27 | 時には昔を思い出す

「才能の巣」のこと

なんかスターウォーズにはハリソン・フォードに続きキャリー・フィッシャーの出演も決まったとか決まらないとか。なんかもう良きにつけ悪しきにつけ興味をひくようなニュースが次々流れてきて楽しい事である。

それはさておき、
今年のダブルエッジの公演は夏過ぎになりそうである。まだまだ先である。
それまでずっと雑談というのもいかがなものか、と思ったりする。
少しは芝居絡みの話もしないと何のブログだかさっぱりわからない。
と言う訳で、先の芝居の話ではなく、昔の芝居の事でも書いていこうかと思う。
ダブルエッジの過去の作品について、思い出せなくなる前に覚えている事を書いておこうという、いわば思い出話的備忘録である。

ダブルエッジの旗揚げは1998年秋の事である。そのきっかけになったのはそこから約一年前、1997年にやった「才能の巣」という芝居であった。
それ以前から芝居はずっとやっていて、大人数の劇団と言う方式を取った事もあったのだが、仲間内の意志の統一が図れず解散したりしていた。
そんな時、たまたま別件で知り合った中に、自分の家を小屋にして貸していると言う人がいた。何でもいいから面白い事ができないかと、色々探しているという事だった。
「それなら芝居やらして下さい」と声を上げたのがきっかけだった。
大人数を仕切るのに失敗していた事もあり、逆に思いっきり少ない人数で、思い切りやりたい事をやろう。そう考えた結果、一人芝居をやる事にした。
役者は、当時知り合いではあったがそれほど仲のよくなかった田辺日太という先輩に声をかけた。
彼も、劇団に入ったり止めたり、養成所に入ったり、色々と自分の道を模索している所だった。
今思うと、二人とも、「仲間を作って楽しくやりたい」というよりは「自分の足で立ちたい」と考えている所だったのが共通点だったように思う。
俺はひたすらセリフを書き、田辺はひたすらセリフを覚えた。
どちらかが演出家という風には考えていなかったように思う。お互いに考える感じだった。
お互い何を考えているか、まだ全くわからなかった頃なので、稽古場はけんか腰だった。

「才能の巣」はある人気作家の物語である。
彼は仮面を被っていて、他人に素顔を一切晒したことがない。
何故か?
人払いをし、一人きりになった書斎で彼は告白を始める。
自分は、以前仮面を被っていた師匠を殺し、その人物に成り代わって仮面を被った2代目である、
と……

試行錯誤の末の本番はしかし、他ではできない事を、やりきった満足感があった。
田辺も、手応えを感じていたと思う。
「コイツと組んで、もう少しやってみたい」
お互いにそう思っていた。しかし、一人芝居というコンセプトでは、早晩ネタ切れして行き詰まるだろうとも思った。
それなら、二人芝居なら?
出演者は田辺を固定して、毎回相手役をゲストとして呼ぶ。色々な外部の役者を呼べばバラエティに富んだ展開ができる。それならネタ切れもなく続けられるのでは?
劇団というくくりとは違う、ちょっと小規模かもしれないが、もっと自由な枠組みができないか?
そうしてダブルエッジが産まれたのだった。
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by w-edge-t | 2013-03-11 18:41 | 時には昔を思い出す


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高山なおき プロフィール

ダブルエッジ 作家
1969年7月6日生まれ

主な作品
○映画
「娘道成寺~蛇炎の恋~」(高山由紀子と共同)

○演劇
「ダブルエッジの忠臣蔵!」
「輪廻くん」
「天気待ち~waiting for the sun~」(奈良橋陽子と共同)  他

○ラジオドラマシナリオ
NHK-FM「魔法の王国売ります!」他

○テレビドラマシナリオ
NHK「ゴーストフレンズ」 他

○ゲームシナリオ
東芝EMI「ずっといっしょ」

○小説
ZEST「ずっといっしょ~秘密の星空~」

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