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スタッフ顔合わせ

7月26日火曜、9月公演の「輪廻くん」スタッフ顔合わせがあった。
プロデューサーの山田氏をはじめ、
演出、ノゾエ氏。
舞台監督、西川氏。
音響、井上氏。
美術、青木氏。
宣伝美術、若桑氏。
制作、田中氏が一堂に会した。

ほとんどの方が初対面な俺としてはいささかの緊張と共にこの日を迎えた訳だが、幸いな事に「なんだこのクソみたいな台本はぁぁあ!やってられるかぁぁあ!」とか怒鳴られる事もなく無事終わったので一安心である。

大体において作家という立場は現場では割と微妙な立ち位置なのである。
基本的にスタッフではある訳だが、いざこうやって集まって「さあこっから頑張っていい芝居作りましょう!」という頃には俺の仕事は終わってるんである。
台本書いて渡したからこそ、スタッフ会議の段取りになってるんだし、手直し含め相当前に終わってる。
ところが上記のスフタッフの皆さんは基本的にこれからが仕事な訳で、もう全然立場が違うのである。
皆様が時間と戦いつつ精一杯のクオリティを求めて目を吊り上げて頑張ってる頃、俺はのほほんと「がんばってくださ〜い」とか言う感じなのである。

正直俺がスタッフだったらムカつくと思う。

稽古してる脇から「そこの演技、僕の書いたニュアンスと違うんですよね〜」とか得々と口挟んできたりしたら、張り倒したい衝動を抑えるので精一杯になって、却って芝居がおかしくなるのではないか。

だからこっから先の俺の仕事は集まったスタッフ、キャストの皆さんの邪魔をしない事、いやむしろもっと積極的に、いい気分でいい仕事してもらう事であろう。
その結果芝居が良くなりゃこっちもお得なのである。

だから俺は自分の台本が稽古で変わるのは一向に構わない。
台詞なんか言いやすいように変えたらいいし、ト書きなんか場合によったら無視したらいい。
無論、『それで芝居が良くなるなら』という但し書き付きだが、それさえ守られればどう変えたっていいのである。

そりゃ、俺だって書くときは一文字一文字、精魂込めて書く。句読点にまで気を使って書く。それはこっちの仕事だから当然である。
でも俺には俺の脳みそしかない。しかも一個しかない。
稽古が始まればそこには演出家をはじめとしたまた別の脳みそがある。何個もある。そこからいいアイディアが出たなら変えりゃいいのである。
要はちょっとでもいい芝居が出来上がりゃいい事なんだから。
だから俺は、スタッフを、キャストを、いい気分にするのだ。
いい気分で、最高の実力を発揮してもらうための環境づくり、そのお手伝い。
それがここからの俺の仕事だと思っている。

顔合わせの帰り、あるスタッフの方に「タイトル、いいですよね」と声をかけられた。
嬉しかった。
……俺がいい気分にしてもらってどうする。
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by w-edge-t | 2011-07-26 22:19 | 芝居の現場で考えた

台風

台風が近付いている。
なんかでかいらしい。というか、遅いらしい。遅いって事はそれだけ一カ所に大量に雨を落とすので、大変である。
今もすでに東京の我が家の窓外では、不穏な風に吹かれて木々が揺れている。台風自体はあんなに遠くにいるのに早くもこの様子である。近付いたら一体どうなってしまうのか。

高知では24時間で700ミリ以上降ってるらしい。
700ミリって、70センチってことだから、まともにたまったらそのまま風呂になるぐらいの量である。大変な事だ。

3.11地震にせよこの台風にせよ、日本はつくづく自然災害の多い国だと思わざるを得ない。こんな次々過酷な自然災害が襲ってくる中で、エコロジーとか自然を大事にとか言われても戸惑う。むしろ自然が人間を大事にして欲しい。

思うに日本に西洋式のエコロジーというのはそぐわないのではないか?
だって自然の様相が違うんだから。そこで暮らしていくための文化が違うんだから。

実際この台風だって本当直撃してる場所では大変だろうと思う。思うけれど一方で、「お陰で少しは暑さが一息つけるな」とか思ったりするのもまた事実であったりする。それが日本の自然だし、それに対する我々の感覚だろうと思うのである。

地震なんかほとんど起きない国で、石造りの家に住み、森を根こそぎ焼き払いながら文明を築いてきた国と、木と紙でできた家に住み、色々作ってみたりもするけれど、地震やら台風やらで年中ひっくり返され、でも一方ではそのお陰で豊かな実りの秋を迎える国。この両者が同じ基準で「自然を守ろう」とか言って、うまく噛み合う訳がないんじゃなかろうか?

日本人はそもそもそれほど過酷に自然を破壊していないし、逆にまた日本の自然は、人間の手で守らねばならないほど脆弱ではないのではないか?
……無論一概に言えないのは百も承知、敢えての暴論である。
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by w-edge-t | 2011-07-19 16:12 | 日々の暮らしで考えた

はえぎわ

……と言っても最近後退してきたとかそんな話ではない。
劇団の名前である。

はえぎわ

9月の『輪廻くん』で演出を担当して頂く、ノゾエ征爾氏の率いる劇団である。
いや、ま、詳しく内情を知っているわけではないので、どれほど率いているかは知らないが。

先週末、公演を観てきたのである。公演タイトルは『○○トアル風景』。
下北のザ・スズナリにて、月曜日までの上演であった。
……いや本当はね、こういうよそ様の公演の話は上演期間中に書くべきだとわかっちゃいる。
とりわけ、今回のように面白かった公演の事はすぐ書くべきだと思っちゃいる。
だってまだやっている最中なら、この記事を読んだ中から「へえ、面白いのか、それなら行ってみるかな」という人が出ないとも限らないんだから。
でも難しい。ロングランででもないと、これがなかなか難しい。なかなかすぐには書けない。

アイドルじゃないんだから。
ただ「おもしろかったで〜す」とか書いて終わりにできるほど俺は可愛くないのである。
ちゃんと俺なりに最低限は消化して、言葉にしてからでないと書けない。

つまんなかったら、わざわざ消化する必要がないので、すぐ書ける。でもその場合、「つまんねーよ」と書くとケンカになりそうなので言葉を選ばなければならず、結局は書くのに時間がかかりそうである。
ただこの場合は遅れる事で記事を読んでから観に行くという二次被害が減るので、かえって良いのではないかと思う。

問題は今回のように面白かった場合である。ただでさえ、芝居は儚い。
公演期間が終わればこの世から消えてしまう、役者は台詞を忘れ、舞台はバラされ、道具類は燃えるゴミになってしまう。
後には何も残らない。残るのは記憶ばかりである。

なればこそ、今回のように面白い芝居は、一人でも多くの人の記憶に残って欲しい。だから人にも積極的に紹介したいのである。でも文章を作っているうちに公演期間は過ぎてしまう。

儚いね、芝居は。
だからこそ、俺は芝居が好きなのだけれど。

はえぎわのお芝居は、多分、はえぎわのお芝居でしか味わえない時間であった。
きわめて非日常な時間であったけれど、その大元は僕らの日常を切り取って戯画化したもので、だから僕らと無関係ではない世界だった。
何かを訴えるような重ったるいものではなかったけれど、何かを考えるベースになるような、社会とか現代とかに関する物の見方を提示していた。と俺は思った。

それは「おもしろかったで〜す」と言って終わってしまうような物ではなくて、芝居を観て感じたことがらを、記憶として持って帰って、ゆっくり咀嚼しながら、日常の中に新たな発見をする。そのためのお芝居だった。と俺は思った。

だからもう消えてしまったお芝居だけれど、少なくとも俺の記憶にはちゃんと残っていて、それなりの存在感を日々示してはいるのである。

儚いが、強いね、芝居は。
だからこそ、俺は芝居が好きなのだけれど。

そして、ノゾエ氏と一緒に芝居やるのが、今は楽しみである。
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by w-edge-t | 2011-07-12 13:16 | 芝居の現場で考えた

テレビ事情

マスコミの報道を見ていると、あたかも3.11東日本大震災が、だいぶ過去のことになってきている感じを受ける。

無論現実はそんな簡単じゃない。
いまだに東北の被災地の方々は相当数が不自由な暮らしをせざるを得ない状況だろうし、俺の暮らす関東圏だって福島原発から漏れた放射性物質にさらされている。
この状況はまだ何年も続くだろう。下手すりゃ俺の残り人生の間は戻らないかもしれない。つまりは世界は変わりっぱなしでもう戻らない、そういう時代の一大転換点だと言う事だ。
それなのに例えばテレビはもうすっかりそれ以前に戻ったかのように、旧来と変わりない番組編成に戻っていたりする。

それは一方では仕方がない。何も年がら年中、現実の中の敢えて苦しい部分ばっかりクローズアップして語る必要もないのだし、日本全体を考えるなら被災してない人だっているのだし。

そうやって考えると変わらなくたって全然構わない。
構わないけど、その反面、変わらなきゃいかんだろと思う気持ちもある。
だって世界が変わっちゃったんだぜ?と。

これから先の世界は、消費電力に気をつけながら、放射線から身を守りながら生きていく、そういう世界なのだ。日々色んなことに気を配りながら、目を配りながら生きていく、それが当たり前の世界なのだ。
ついこの間までとは全然違う人生観がそこにはある。
そんな風に世界が変わったのに、テレビモニターの向こうはあまり代わり映えがしない。
相変わらず政治家は政争を繰り広げ、それを伝えるキャスターは訳知り顔でこの国の行く末を案じてみせる。テレビショッピングは甲高い声で値段を叫び、アイドルたちが人気投票の票数を競って涙を流したりもする。

別にバラエティ批判とかそういうことじゃない。真面目なドキュメンタリーが偉いとも思わない。ニュースだけに価値があるなんて事を言うつもりもない。
ただ、様々な番組作りのその手法というか、切り口というか、そういう物の変化が、あの大きな事態の前後でほとんどない事に、失望を感じるのだ。
テレビは時代を映す鏡だったのに、もはやそうではなくなってしまったのだな、という慨嘆である。
視聴率の低落傾向というのはずいぶん前から言われる事であるけれど、いよいよテレビと時代との乖離が無視出来ないところまで大きくなってきたなと思うのである。
そしてそんなタイミングでデジタル放送への切り替えが行われる。
これを機に視聴習慣が減る人も多いのではないか?
そしてますますテレビと現実は乖離していく……

リビングにテレビがあり、そこに家族が集まるという家庭は、今どれぐらいあるのだろう?
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by w-edge-t | 2011-07-04 20:51 | 日々の暮らしで考えた


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高山なおき プロフィール

ダブルエッジ 作家
1969年7月6日生まれ

主な作品
○映画
「娘道成寺~蛇炎の恋~」(高山由紀子と共同)

○演劇
「ダブルエッジの忠臣蔵!」
「輪廻くん」
「天気待ち~waiting for the sun~」(奈良橋陽子と共同)  他

○ラジオドラマシナリオ
NHK-FM「魔法の王国売ります!」他

○テレビドラマシナリオ
NHK「ゴーストフレンズ」 他

○ゲームシナリオ
東芝EMI「ずっといっしょ」

○小説
ZEST「ずっといっしょ~秘密の星空~」

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